製品加工とは何か|工程や方法、業者に依頼するまでの流れや費用を解説

「製品加工の見積もりが予算より高すぎる」「品質の信頼できる加工業者が見つからない」「納期に間に合うか不安」─。製品開発や部品調達に携わる方なら、こうした悩みを一度は経験されているのではないでしょうか。

近年は、デジタル化や自動化の進展により、従来の加工技術に加えて新しい加工方法も次々と登場しています。自社のニーズに最適な加工方法や信頼できる業者の選定が、以前にも増して重要になってきました。

そこで本記事では、製品加工の基礎知識から具体的な工程、主要な加工方法、そして信頼できる業者選定のポイントまで解説します。高品質な製品加工を実現しながら、コストと納期の最適化を図りたいとお考えの方は、ぜひ最後までご一読ください。

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製品加工とは

製品加工とは

製品加工とは、原材料や部品に物理的・化学的な処理を加えて、目的とする形状や性質に変化させる工程全般を指します。金属やプラスチックなどの素材を切削・研磨したり、熱処理を施したり、表面処理を行ったりする作業が該当します。

主に、製品加工は以下の5つの主要な方法に分類されます。

  • 切削加工(旋盤やフライス盤による加工)
  • 成形加工(プレスや鋳造による形状付与)
  • 接合加工(溶接やろう付けによる接合)
  • 特殊加工(放電加工やレーザー加工)
  • 熱処理・表面処理(焼入れやメッキ処理)

それぞれの加工方法を組み合わせることで、より高品質で付加価値の高い製品を生み出すことが可能です。

加工と製造の違い

加工と製造は、一見似ているように見えますが、本質は異なります

  • 加工:素材の本質を保持したまま新たな属性を付加する
  • 製造:原料から本質的に異なる新たな物を作り出す

例えば、金属の切削や研磨は「加工」に該当します。なぜなら、素材である金属の本質的な性質は変わらず、形状のみが変化するためです。一方、複数の部品を組み立てて完成品を作る作業は「製造」となります。

製造業において加工と製造は密接に関連しており、高品質な製品を生み出すためには、適切な加工技術と製造プロセスの両方が欠かせません。

製品加工の工程

製造現場では、以下の5つの工程に沿って製品が作られていきます。

  1. 設計
  2. 資材調達
  3. 加工・組立
  4. 仕上げ・検査
  5. 保管・出荷

設計

設計工程では、顧客の要望や市場ニーズを具体的な製品仕様に落とし込み、3DCADなどを使用して詳細な設計図面を作成します。製品の機能性や生産効率、コストなど多角的な視点から検討を重ねます。

大切なのは、後工程での加工のしやすさを考慮した設計です。例えば、複雑な形状を避け、標準的な加工方法で製造可能な設計を心がけることで、製造コストの削減と品質の安定化を図るなどです。

資材調達

資材調達工程では、設計図面にもとづいて原材料や部品を手配します。品質・コスト・納期の3要素を適切にバランスを取りながら、信頼できるサプライヤーを選定しなければなりません。

また、在庫管理システムと連携し、必要な材料を必要な時に過不足なく調達できる体制を整えます。場合によっては材料の品質検査も行い、不良品の混入を防止するといった工程を設け、後工程での品質トラブルを未然に防ぎつつ安定した製品製造を実現します。

加工・組み立て

加工・組立工程は、製品の形を具体的に作り上げていく工程です。製品に応じて以下のような加工方法を選択し、高精度な加工を実現します。

  • 切削加工
  • プレス加工
  • 溶接

CNC工作機械やロボットなどの最新設備を活用したり、作業手順の標準化や品質管理体制の整備したりするなどより、安定した品質を確保します。高品質な製品を作り上げるためにも、作業者の技能レベルの維持・向上を目的とした定期的な研修や技能訓練を行うことも欠かせません。

仕上げ・検査

仕上げ・検査工程では、加工・組立が完了した製品の最終確認を行います。表面処理や塗装などの仕上げ作業を施し、製品の外観や耐久性を向上させます。

検査は、寸法精度、外観、機能性など、多角的な観点から品質チェックを実施する工程です。

最新の検査機器を用いた自動検査と、熟練検査員による目視検査を組み合わせることで、不良品の流出を防止します。検査データは記録・分析され、製造プロセスの改善にも活用されることもあります。

保管・出荷

保管・出荷は、完成した製品を適切に保管し、顧客に届けるまでの品質を維持する工程です。温度や湿度が管理された保管環境で製品を適切に保管し、製品の劣化を防止します。

出荷時には、製品の取り扱い方法や注意事項を明記した説明書の同梱、適切な梱包材の選択など、輸送中の製品保護にも細心の注意を払います。また、在庫管理システムと連携し、在庫管理と迅速な出荷対応を図ることも重要な工程です。

製品加工の代表的な5つの方法

製品加工 加工方法

製品加工では、以下の5つが代表的な加工方法として挙げられます。

  1. 切削加工
  2. 成形加工
  3. 接合加工
  4. 特殊加工
  5. 熱処理・表面処理

切削加工

切削加工は、旋盤やフライス盤などの工作機械を使用して、素材から不要な部分を削り取ることで目的の形状を作り出す加工方法です。

高い精度で複雑な形状を実現でき、航空機部品や精密機械部品など、厳密な寸法精度が要求される製品の製造に適しています。切削加工では、工具と素材の接触により切りくずが発生しますが、過程で0.001mm単位の精度管理が可能です。

また、近年ではCNC工作機械の導入により、複雑な3次元形状の加工も自動化されています。ただし、加工時間が比較的長くなるほか、材料の無駄が発生するなどの理由から、大量生産には向いていません。

成形加工

成形加工は、金型を使用して素材を所望の形状に変形させる加工方法です。

プレス加工、鋳造、射出成形などが代表例で、大量生産に適した製造方法として広く活用されています。特に自動車部品や家電製品の外装部品など、同一形状の製品を大量に生産する場合に威力を発揮します。

一度金型を製作してしまえば短時間で多くの製品を製造できる特性から、生産数量が多い場合や要求される精度が比較的緩やかな場合に選択されることが一般的です。ただし、金型製作には高額な初期投資が必要となり、また製品の精度は切削加工と比べてやや劣ります。

接合加工

接合加工は、複数の部材を一体化して製品を作り上げる加工方法です。

溶接、ろう付け、接着などの技術を用いて、異なる材料や形状の部品を組み合わせてから加工できるため、大型構造物や複雑な形状の製品を製造する際に役割を果たします。接合方法の利点は、単一の加工では実現が困難な形状や機能を持つ製品を製造できることです。

例えば、自動車のボディや建築用鉄骨などは、複数の部材を溶接によって接合してから製造されます。最近では、レーザー溶接や摩擦撹拌接合など、新しい接合技術も開発され、より高品質な製品製造が可能になっています。

特殊加工

特殊加工は、従来の機械的な加工方法では対応が困難な材料や形状に対して用いられる加工方法です。

レーザー加工、放電加工、電子ビーム加工などが代表的で、超硬材料の加工や微細加工に威力を発揮します。特徴は、非接触での加工が可能なことと、従来の方法では実現できなかった精密な加工が可能なことです。

主に、半導体製造装置の部品や医療機器の精密部品など、高度な技術が要求される製品の製造に用いられます。また、3Dプリンティングのような積層造形技術も特殊加工の1つとしても注目されています。

熱処理・表面処理

熱処理・表面処理は、製品の機械的特性や耐久性を向上させるための仕上げ工程です。

熱処理では、材料を加熱・冷却して硬度や強度を調整し、表面処理では、メッキや塗装により耐食性や意匠性を向上させます。例えば、工具鋼の焼入れ・焼戻しにより耐摩耗性を向上させたり、自動車部品のメッキ処理により防錆性を確保したりするなどです。

近年では環境負荷の低減を考慮した新しい処理方法も開発され、製品の付加価値向上にも貢献しています。

製品加工を業者に依頼する流れ

製品加工の依頼から納品までの基本的な流れは、以下のとおりです。

  1. お問い合わせ
  2. 打ち合わせ
  3. 見積もり依頼
  4. データ作成
  5. 加工・検査
  6. 納品

なかでも大切なのは、製品の品質、納期、コストが左右される「打ち合わせ」です。打ち合わせでは、加工方法や材質の選定、寸法精度、表面処理の要否など、細かな仕様を決定します。

また、この段階で業者から改善提案やコスト削減案が出されることも多く、製品の価値を高める機会です。代替案により、コストダウンや納期短縮、さらには軽量化という付加価値が生まれる可能性もあります。

  • 要求仕様を明確に伝える
  • 業者の提案に耳を傾ける
  • 不明点はその場で解消する

上記のポイントを押さえることで、そのあとの工程もスムーズに進み、期待通りの製品に近づきやすいです。失敗したくない方、はじめての方であれば打ち合わせに十分な時間を確保しましょう。

製品加工を業者に依頼するメリット

製品加工 メリット デメリット

製品加工を専門業者に依頼すると、以下のメリットが得られます。

  • 専門的な技術とノウハウを活用できる
  • 最新の加工設備を利用できる
  • 生産能力の不足を補える
  • 短納期での対応が可能
  • 品質管理体制が整っている
  • コスト削減につながる
  • リソース不足の解消ができる
  • 新製品開発への迅速な対応が可能

いずれにも共通するのは「自社にない経営資源を活用できる」という点です。

製品加工の専門業者は、長年の経験と実績に基づく確かな技術力を持っています。自社で設備投資や人材育成をする必要がなく、必要な時に必要なだけ専門的なリソースを活用して自社のコア業務に集中しやすくなるでしょう。

デメリットと対策

製品加工の外部委託には、以下のようなデメリットも存在します。

  • 機密情報の漏えいリスクがある
  • コミュニケーションコストが発生する
  • 追加の費用負担が必要になる

デメリットを抑えるためには適切なパートナー選びが重要です。信頼できる業者を選定し、綿密な打ち合わせを重ねることで予期せぬリスクは最小限に抑えられます。

機密保持契約の締結や、定期的な進捗確認の実施、コスト面での事前合意など、計画的な対策を講じられる経験豊富な依頼先を見つけましょう。

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製品加工の依頼にかかる費用の相場

一般的な製品加工では数万円からはじまり、高度な精密加工になると数百万円規模まで費用が上がることも少なくありません。また、同じ製品でも、1個だけの試作品製作と量産では、1個あたりの単価が異なります。

以下では、代表的な費用の目安をお伝えします。

加工費

加工費は、製品の製造過程で直接発生する費用の総称です。主に、作業員の人件費、機械設備の使用料、エネルギー費用などが含まれます。

一般的な加工費の計算式は、『加工費 = 加工チャージ × 加工工数』です。

費用は4,000円/時間程度からはじまりますが、高精度な加工や特殊な技術が必要な場合は、より高額になります。また、加工チャージには以下が含まれます。

  • 設備償却費
  • 作業員人件費
  • 光熱費などの運営費用

加工費を適切に見積もるためには、製品の図面や仕様書、精度、材質などの情報を明確にする必要があります。また、加工方法によって費用は変わるため、加工方法の選定も大切です。

試作製作費

試作製作費は、製品開発段階で必要となる試作品の製作にかかる費用です。一般的な試作製作の費用相場は50万円から150万円程度ですが、製品の複雑さや要求される精度によって変動します。

試作製作費に影響を与える主な要因は、以下のとおりです。

  • 製品の大きさと複雑さ
  • 使う材料の種類と量
  • 要求される精度
  • 製作個数
  • 納期の緊急度

なお、小規模な部品であれば数千円程度から試作が可能な一方、大型や複雑な製品の場合は数百万円以上かかることもあります。

プレス加工費

プレス加工費は、金型を使用した量産加工にかかる費用です。費用相場は、金型の製作費用が数十万円から数百万円、加工費は製品の複雑さや数量によって変動します。

主にプレス加工費は、以下の5つで構成されます。

  1. 金型費
  2. 加工費
  3. 管理費
  4. 機械・設備費
  5. 利益

金型費用は初期投資として大きな割合を占めますが、生産数量が増えるほど1個あたりの単価は下がっていきます。費用を最適化するためには、適切な生産数量の設定、金型の耐久性を考慮した設計などを総合的に検討しましょう。

製品加工のご相談はI-OTAへ

大田区を拠点とするI-OTAは、日本トップクラスの製造業ネットワークを活かし、お客様の製品加工における課題を製品企画から試作開発、設計、加工まで一貫して対応できるワンストップ体制で解決します。

図面がある場合はもちろん、アイデア段階からの相談にも丁寧に対応。実際の対話を通じて最適な製品や装置を作り上げていく伴走型のアプローチが特徴です。

これまでも、家庭用サウナストーブの開発や次世代型農耕機の試作、産業用検査機器の開発など、幅広い分野での課題解決を実現してきました。

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まとめ

製品加工は、設計から出荷まで5つの工程を経て完成に至ります。切削加工、成形加工、接合加工、特殊加工、熱処理・表面処理という5つの代表的な加工方法を適切に選択・組み合わせることが、高品質な製品製造の鍵です。

製品加工を専門業者に依頼する際は、以下の3つのポイントを押さえましょう。

  1. 事前の綿密な打ち合わせによる要件の明確化
  2. 適切な加工方法の選定
  3. 費用対効果の最大化

I-OTAでは、金属加工、樹脂加工、表面処理など、多彩な加工技術を駆使し、お客様の要望に応える製品づくりを実現します。試作から量産まで、各工程に最適化された設備と熟練の技術者と柔軟な生産体制で対応いたします。ぜひお気軽にご相談ください。

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