装置開発における試作は、本格的な製造・販売の前に行う検証プロセスを指します。試作から量産までは6段階を経て進めることになり、判断ミスは後工程での手戻りや予期せぬコスト増加につながりかねません。
そこで本記事では、装置開発における試作の基本から、量産化までの具体的な流れを詳しく解説します。実際にかかる期間や費用の目安にも触れるため、ぜひ最後までご一読ください。
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装置開発の試作とは

装置開発における試作とは、本格的な製造・販売の前に行う検証プロセスのことです。設計段階で想定した機能や性能が実際に実現可能かを確認し、潜在的な問題点を早期に発見できます。
また、応答性や機械的な動作の安定性など、図面や3D設計だけでは見えてこない課題も実機で確認できます。結果、量産段階での手戻りを防ぎ、開発コストの最適化にもつながります。
試作と量産の違い
試作と量産のもっとも本質的な違いは、『目的』です。試作は製品の実現性や機能の検証を目的としているのに対し、量産(MP:Mass Production)は効率的な大量生産の実現を目指します。
試作段階では、装置の基本性能や機能の確認に重点を置くため、製造効率や原価は二次的な考慮事項となります。一方、量産では製造コストの最適化や生産効率の向上が最重要課題となり、そのために製造工程の標準化や専用治具の開発なども必要です。
開発試作と量産試作との違い
開発試作と量産試作は、装置開発工程における異なるフェーズで実施される試作です。
開発試作は、製品の実現性を探る段階で行われ、基本的な機能や性能の検証に重点を置きます。装置の完成形を見据えながらも、まずは核となる技術や機能の実現性の確認が主目的です。
一方、量産試作は実際の製造工程を想定した最終確認として位置づけられます。実際の生産ラインでの製造を前提とした品質の安定性や、作業効率、コスト面での実現性を検証します。
装置開発における試作の種類
装置開発では、開発段階や目的に応じて複数の試作を段階的に行うことで、リスクを最小限に抑えながら確実な開発を進めていきます。代表的な試作の種類は以下の4つに分類されます。
名称 | 概要 |
---|---|
原理試作 | 新しいアイデアや技術が実現可能かを確認するための試作 |
機能試作 | すべての機能が実際に動作するかを確認するための試作 |
コールドモック | 外観、サイズ、感触を確認するための非稼働の試作 |
量産試作 | 実際の生産ラインでの製造が可能かを確認するための最終試作 |
それぞれの試作工程を適切に組み合わせることで、開発リスクを最小化し、確実な装置開発の実現を目指すのです。
装置開発の試作期間

装置開発における試作期間は、一般的に1年以上の期間を見込みます。特に高度な技術要件や複雑な機構を含む装置の場合、2〜3年を要するケースも珍しくありません。
試作期間の長さには、以下のような要因が影響します。
- 要求される技術的な難易度
- 必要な検証プロセスの数
- 部品の調達期間
- 安全性や品質に関する各種認証の取得
装置開発の試作には相応の時間が必要ですが、過程で得られる知見は、最終的な製品の完成度を左右するものだと考えて余裕を持たせておくと良いでしょう。
では、具体的にどのような工程を経て試作から量産へと進んでいくのでしょうか。次のセクションでは、装置開発における試作から量産までの一連の流れについても詳しく説明します。
【フロー】装置開発の試作から量産までの流れ
装置開発における試作から量産までのプロセスは、以下の6段階で進められます。
- 概念実証(PoC)
- 機能・技術検証(EVT)
- 設計検証(DVT)
- 生産検証(PVT)
- 量産試作(PP)
- 量産(MP)
概念実証(PoC)
概念実証では、アイデアや企画の骨組み・構想が実現可能かどうかを検証します。例えば、新しい半導体製造装置を開発する場合、まず基本的な原理が実際に機能するかを確認するため、簡易的な実験装置を製作するなどです。
完成品の形状や外観にはこだわらず、純粋に技術的な実現性の確認に焦点を当てます。概念実証で得られた結果は、プロジェクトの継続判断や次のステップへの移行を決定する指標となります。
機能・技術検証(EVT)
機能・技術検証では、製品仕様に基づいた基本機能の実現性を確認します。半導体製造装置の例では、実際の製造工程で必要となる各要素技術(温度制御、位置決め精度、処理速度など)が要求される性能を満たせるかを検証します。
複数の試作品を製作して繰り返しテストを行い、技術的な課題を洗い出すことが大切です。発見された問題点は設計にフィードバックし、必要に応じて仕様の見直しや改良を行います。
設計検証(DVT)
設計検証では、量産を見据えた詳細な製品設計の妥当性を確認します。半導体製造装置の場合、実際の製造環境を想定した耐久試験や安全性試験、各種規格への適合性検証などの実施が該当します。
主に、量産時に使う部品や材料とほぼ同等のものを使用し、製品としての完成度を高めていく段階です。また、製造コストの検証や、保守性・メンテナンス性の評価も行われます。
生産検証(PVT)
生産検証は、量産化に向けた最後の試作段階です。半導体製造装置であれば、実際の製造ラインで使用される状況を想定し、連続運転試験や異常時の動作確認、オペレーターの操作性検証などを実施します。
製造工程の標準化や品質管理手法の確立も行われ、量産時の品質基準や検査基準が決定されます。生産検証で得られたデータは、量産時の品質保証の基準ともなるのです。
なお、ここまでが装置における『試作』の範囲です。次からは『量産』の領域となります。
量産試作(PP)
量産試作では、実際の生産ラインを使用して少量の製品を製造します。半導体製造装置の場合、実際の量産と同じ工程、同じ部品を使用して10台程度の製造を行い、製造プロセスの安定性や品質の一貫性を確認するなどです。
発見された問題点は、量産開始前の最終調整として改善されるほか、作業標準や検査基準の最終確認も行われ、量産体制の整備が完了します。
量産(MP)
量産段階では、確立された製造プロセスにもとづいて本格的な生産が開始されます。半導体製造装置の例では、品質管理体制のもと、安定した品質の製品を計画的に製造するといった具合です。
主に、生産効率の向上や製造コストの削減にも注力し、市場競争力の維持・向上を図ります。また、製造データの分析により、さらなる品質改善や工程改善にも取り組むことになるでしょう。
このように装置開発には綿密な計画と段階的な検証が必要です。では次に、このような開発プロセスにかかる費用の目安について見ていきましょう。
装置開発の試作にかかる費用の目安

装置開発における試作費用は、一般的に数十万円から数百万円程度の幅があります。ただし、単なる目安であり、実際の費用は開発内容や要件によって非常に大きく変動します。
具体的な費用を左右する主な要因は、以下のとおりです。
- 開発範囲の広さ
- 装置の物理的な特性
- 技術的な要求事項
このように、装置開発の試作費用は案件ごとに個別性が高く、明確な相場を示すことは困難です。そのため、まず開発目的や要件を明確にした上で、専門家による詳細な見積もりを取ることをおすすめします。
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I-OTAは、製造業の集積地として知られる東京・大田区を拠点に、高度な技術力と豊富な実績を持つ企業群で構成されたものづくりのプラットフォームです。装置開発における試作から量産まで、一貫した開発体制でお客様の課題解決をサポートいたします。
特に、製品の性能と品質を維持しながら安定供給を実現するための装置開発において、豊富な経験と実績を有しています。
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I-OTAでは、装置開発における試作から量産までの全工程をワンストップで提供可能です。開発初期の概念実証(PoC)から、機能検証(EVT)、設計検証(DVT)、そして量産化に向けた生産検証(PVT)まで、各フェーズに応じた最適なアプローチを実現できます。
複数の専門企業による連携体制により、お客様は煩雑な調整作業から解放され、開発に専念していただけます。また、将来的な量産を見据えた試作プロセスの最適化により、スムーズな量産移行も実現します。
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I-OTAの強みは、各分野のスペシャリストである参画企業の確かな技術力にもあります。金属加工、樹脂成形、表面処理など、それぞれの分野で豊富な実績を持つ企業が連携し、高度な技術要求にも対応可能です。
特に装置開発においては、機械設計、電気制御、ソフトウェア開発など、多岐にわたる技術領域をカバーしています。各企業の技術者が持つ知見と経験をいかし、お客様の要求仕様に最適な解決策を提供します。
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市場性や量産性を考慮した設計提案、コスト最適化など、実務経験に基づく具体的なアドバイスを提供します。また、試作過程で得られた知見をもとに、より効率的な量産体制の構築まで見据えたご提案も可能です。
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まとめ
装置開発は、本格的な製造や販売を始める前に行う検証作業のことを指します。主な目的は、設計段階で考えた機能や性能が実際に実現できるかを確認することです。
そして、装置開発の試作を進める際に、押さえておきたいポイントは以下の3点です。
- 開発初期段階での方向性の見極め
- 段階的な試作プロセスの実施
- 一貫した開発体制の確保
I-OTAは、これらすべての要件を満たす開発パートナーとして、お客様の装置開発を確実に成功へと導きます。豊富な実績と技術力を持つ弊社に、ぜひ一度ご相談ください。