自動化装置とは?種類や機能、導入の効果から注意点まで解説

  • 人手不足で生産性が上がらない
  • 品質にバラつきが出てしまう
  • 危険な作業を従業員にさせたくない

上記の課題は、自動化装置の導入によって解決を目指せます。

自動化装置とは、人の作業を機械やプログラムで代替する仕組みのことです。24時間365日安定した品質での生産を実現し、危険な作業から従業員を解放しつつ人件費の削減にも貢献します。

しかし、「どの工程から自動化すべきか」「投資対効果は十分か」「メンテナンス体制は整えられるか」など、事前に確認すべきポイントが数多くあり、失敗すれば高額な設備投資が無駄になるリスクもあるのも事実です。

そこで本記事では、自動化装置の基礎知識から、メリット・デメリット、具体的な導入事例まで、経営者や設備担当者の方に向けて徹底解説します。生産性向上や品質安定化をお考えの方、自動化装置の導入を検討されている方は、ぜひ最後までご一読ください。

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自動化装置とは

自動化装置とは

自動化装置とは、人の作業を機械やプログラムで代替する仕組みのことです。製造現場における搬送・組立・検査・加工といった作業工程を、ロボットや専用機械で自動的に行えるようにする装置全般を指します。

具体的には、以下のような装置が代表例として挙げられます。

  • 産業用ロボットによる部品の組立作業
  • 画像認識システムを活用した製品検査
  • コンベアベルトによる自動搬送システム

近年では、IoTやAIといった先端技術との組み合わせにより、より高度な自動化が実現可能になってきました。機械学習を活用した不良品検出や、遠隔監視による24時間稼働の実現など、従来の自動化の枠を超えた活用方法が広がっているのです。

自動化装置の種類

製造現場で活用される自動化装置は、用途や目的に応じて多様な種類が存在します。以下の表では、主要な自動化装置の種類と特徴をまとめました。

装置の種類 主な用途 特徴
搬送装置 工程間の製品・材料の移動 ・ベルトコンベア、ロボット搬送など多様な方式
・工程間の自動化による生産性向上
・人的ミスの低減
検査装置 製品品質の確認・保証 ・外観、トルク、リーク、電気特性などの検査
・高精度なカメラやセンサーによる検知
・24時間安定した品質保証
塗布装置 接着剤・溶剤の塗布作業 ・対象物の形状に応じた塗布方法
・正確な塗布量のコントロール
・品質の均一化
組立装置 部品の組み付け作業 ・高速かつ正確な組立作業
・品質のばらつき防止
・作業効率の向上

自動化装置は単体での導入も可能ですが、生産ラインの特性や目的に応じて組み合わせることで、より効率の高い自動化を実現できます。導入を検討する際は、自社の製造工程の特徴や課題を明確にし、最適な装置を選定しなくてはなりません。

自動化装置の主な機能

自動化装置は、製造現場における以下の多様な作業を実行します。装置そのものと同様に、複数の機能を組み合わせることで、より効率を求めた自動化ラインを構築できます。

機能 概要 使用される装置例
製品の移動・搬送 製品を次工程へ正確に運搬。重量物や高速搬送にも対応 コンベアベルト、ロボットアーム
部品の位置決め 作業に適した位置へ部品を配置。高精度な位置合わせが可能 振動フィーダー、画像認識システム
ラインからの排出 完成品や不良品を自動で仕分け・排出。連続稼働を実現 センサー、自動仕分けシステム
切断・貼り付け・研磨 高精度な加工作業を一定品質で実施。危険作業も安全に遂行 レーザーカッター、研磨ロボット
組み立て・ネジ締め 複雑な組立作業を高速・正確に実行。疲労の影響を受けない 多関節ロボット、専用組立機
品質チェック 微細な欠陥も見逃さず検査。データ収集・分析も同時に実施 画像検査装置、測定センサー

例えば、部品の位置決めから組立、品質チェックまでを一連の流れで自動化し、人手作業を最小限に抑えながら高品質な製品を生産するなどです。将来の生産計画や拡張性も考慮に入れ、柔軟な対応が可能なシステム設計を心がけましょう。

自動化装置が注目される理由

深刻化する人手不足は、多くの製造業にとって喫緊の経営課題となっているのはすでにご存知でしょう。日本では、少子高齢化の進展により生産年齢人口が減少の一途をたどっており、人材確保の困難な状況が続いています。

このような背景から、自動化装置の導入は、人手不足を解決する有効な手段として注目を集めています。これまで人が担ってきた単純作業や重労働を機械に任せることで、限られた人材リソースの再振り分けを可能にするからです。

また、自動化装置の導入は、単なる人員削減ではなく、従業員のワークスタイル改革にもつながります。結果として、従業員は製品開発や品質改善、顧客対応といった、より創造的で付加価値の高い業務に注力できます。

自動化装置は人手不足対策としてだけでなく、従業員の労働環境改善や企業の生産性向上など、多面的な効果をもたらす解決策として、ますます重要性を増しているのです。

自動化装置を導入する6つのメリット

自動化装置 メリット

製造現場における自動化装置の導入は、以下の6つのメリットをもたらします。

  1. 人件費削減につながる
  2. 危険な場所での作業を回避できる
  3. 24時間稼働により生産性が向上する
  4. 一定の品質・作業スピードをキープできる
  5. 得意・不得意が気にならない
  6. 採用・育成コストを削減できる

人件費削減につながる

自動化装置の導入により、これまで人手で行っていた作業工程を機械に任せることができます。その結果、各工程における作業員数を削減でき、人件費の圧縮が可能です

また、重量物の持ち上げや、長時間の立ち仕事など、体力を消耗する作業から解放されることで、作業員の疲労やストレスも抑制できます。空いた人員を他の付加価値の高い業務へ再配置できれば、企業全体の生産性向上にもつながるでしょう。

危険な場所での作業を回避できる

製造現場には、高温・高圧・有害物質など、作業員にとって危険な環境が存在するはずです。こうした場所でも自動化装置を導入できれば、危険な作業を機械に任せて作業員の安全を確保できます。

単純に回避できるだけではなく、危険作業に伴う安全対策費用や保険料の削減も期待できます。より安全で高い効率を目指した生産体制の構築が可能になる点は、自動化装置ならではのメリットです。

24時間稼働により生産性が向上する

自動化装置は休憩や休息を必要とせず、24時間365日の連続稼働が可能です。人間のように疲労による作業効率の低下もないため、常に安定した生産性を維持できます。

必要に応じて夜間や休日も含めた稼働を実施すると、生産能力も向上します。納期の短縮や急な増産要請への対応もしやすくなり、顧客満足度の向上や競争力の強化にもつながり、企業の収益性向上にまで貢献するのです。

一定の品質・作業スピードをキープできる

自動化装置は、プログラムされた通りの作業を正確に繰り返す仕組みです。人間のように体調や気分による作業品質のばらつきがなく、常に一定の品質水準を維持できます。

作業スピードも一定に保たれることで生産計画の精度が向上し、不良品の発生も最小限に抑えられるほか、品質管理コストの削減にもつながります。顧客からの信頼向上と、ブランド価値の向上が副次的に狙えるのです。

得意・不得意が気にならない

自動化装置は、人間のような得意・不得意の差もありません。プログラムされた作業であれば、どのような複雑な工程でも正確に実行でき、作業環境による影響も受けにくく安定した作業品質を維持できます。

熟練工でなければできない精密な作業も、暗黙知を形式知化して実現できれば、自動化装置で同じ品質で生産可能です。生産工程の標準化と効率化が進み、企業の競争力向上につながります。

採用・育成コストを削減できる

自動化装置の導入により、新規採用や人材育成にかかるコストまで削減できます。熟練工の技能習得には長期間を要しますが、自動化装置なら短期間で安定した作業品質を実現できるからです。

また、採用・育成に伴うリスクも軽減できるでしょう。人材の早期離職や技能習得の遅れといった問題を回避でき、安定した生産体制を維持しつつ、既存社員を他の重要業務に配置転換する選択と集中にも一役買います。

ただし、自動化装置はメリットだけではなく、デメリットも存在します。

自動化装置を導入する際の4つのデメリット

自動化装置を導入する際のデメリットは、以下の4つです。

  1. 導入にはコストと時間がかかる
  2. 故障のリスクもある
  3. 複雑な判断は難しい
  4. 操作・管理の人材が必要になる

導入にはコストと時間がかかる

自動化装置の導入には、装置本体の購入費用に加え、設置工事費、既存設備との接続費用など、予想以上の初期投資が必要になります。特に、生産ラインに合わせたカスタマイズを行えば、追加の開発費用も発生します。

また、導入から本格稼働までには、設置工事や試運転、従業員のトレーニングなど、数か月単位の時間がかかることも一般的です。投資回収には通常2〜3年程度を要するため、長期的な視点での投資判断が求められます。

故障のリスクもある

自動化装置は機械である以上、故障のリスクは避けられません。稼働時間が長くなるほど、部品の摩耗や劣化による不具合が発生する可能性は自然に高まります

故障が発生すると、生産ラインが停止し、納期遅延や品質問題につながる恐れがあります。また、修理には専門的な知識や技術を要し、部品の取り寄せに時間がかかるケースも少なくありません。

定期的なメンテナンスや予備部品の確保など、故障への備えは導入前から十分に検討してください。

複雑な判断は難しい

自動化装置は、あらかじめプログラムされた作業を正確に行うことは得意ですが、状況に応じた柔軟な判断や対応は苦手です。

製品の微妙な色味の違いや、想定外の不具合への対応など、人間の経験や直感に基づく判断を求められる作業は、自動化が困難です。生産品目の変更や仕様変更への対応にも、プログラムの修正や設定変更が必要となり、柔軟性に欠ける面があります。

とはいえ、暗黙知を形式知化し、AIによる判断を取り入れるといった方法も生まれてきました。導入には費用がかかるものの、これから実施するビジネスの実態に即した自動化装置の選定を行いましょう。

操作・管理の人材が必要になる

自動化装置を運用するには、操作・管理を行う専門知識を持った人材が不可欠です。完全に人間を代替し、従業員をそのまま自動化装置だけで置き換えることはできないと考えましょう。

また、メンテナンス、トラブルシューティングなど、通常の業務では触れてこなかった新たな知識をつけなければなりません。通常、自動化装置を導入した際には一定のマニュアルを作成できますが、人材の育成は時間とコストもかかります。

とはいえ、デメリットとうまく向き合うことで、実際に自動化装置は一定の成果を上げているのも事実です。

自動化装置の導入事例3選

自動化装置 導入 事例

自動化装置の導入において、業界をリードする企業の3つの導入事例を紹介します。

自動車メーカー

アウディでは、車体部品の品質検査工程に最新の自動化装置を導入しています。従来は熟練作業者の目視による検査が主流でしたが、AIを活用した自動検査システムへと進化させました。

特にプレス加工における金属板のクラック(裂け目やひび割れ)の検出では、人間の目では見落としがちな微細な不具合も高精度で発見できるようになっています。収集したデータを分析して不良品の発生パターンを予測し、製造プロセスの改善にも活用できるでしょう。

参照:https://youtu.be/fyETkI6gDdg

電機メーカー

アイリスオーヤマのつくば工場では、LED照明製造ラインの完全自動化を実現しています。約11万平方メートルの6階建て工場で、わずか50名程度の従業員で運営が可能になりました。

基板実装から製品の梱包まで、すべての工程をロボットが担当し、人手を介さない生産体制を構築しています。完成した製品は自動搬送機によって出荷場まで運ばれ、人的ミスのリスクを最小限に抑えることにより、生産効率が30%向上し、不良品率も低減されました。

参照:https://youtu.be/FgwPBqrNJEE

食品会社

サラダクラブでは、カット野菜の製造工程に最新の自動化装置を導入しています。従来は人手に頼っていた野菜の洗浄、カット、検品、包装の各工程を自動化し、衛生面での品質向上と作業効率の改善を実現しました。

AIによる品質検査システムでは、野菜の鮮度や異物混入のチェックを高精度で行い、人間の目では見落としがちな微細な品質の違いも検出可能になっています。自動化により、生産能力が2倍に向上し、食品安全性の向上にも貢献したのです。

参照:https://youtu.be/KH9fgfwGc_0

自動化装置の導入はまず試作から

自動化装置の導入を成功に導くために、まず試作からスタートしましょう。なぜここまで試作からのスタートをおすすめするのかには、以下に挙げた3つの理由があります。

  1. リスク・コストの最小化を狙えるから
  2. 最適化の機会を創出できるから
  3. 柔軟な仕様変更へ対応できるから

リスク・コストの最小化を狙えるから

自動化装置の試作導入では、初期投資を最小限に抑えながら、システムの問題点を早期に発見できます。本格導入を行う前に試作機で検証できれば、予期せぬトラブルや改善点を洗い出すことができます。

また、実際の製造現場での運用を通じて、投資対効果も具体的な数値で把握できます。事前に課題を解決し、本格導入時のコストオーバーランを防ぐことができるのです。

最適化の機会を創出できるから

試作導入のもう1つの利点は、実際の製造環境での運用データを収集・分析できることです。自動化装置の性能や効率を実測値で評価し、改善点を明確にできます。

既存の製造ラインとの統合における課題を早期に特定できるため、本格導入時のトラブルを未然に防ぐことが可能です。データと知見は、より高い効率を求めた生産システムの構築に向けた資産となります。

柔軟な仕様変更へ対応できるから

試作段階からはじめることで、市場ニーズや製品仕様の変化にも柔軟に対応できます。開発段階でも、顧客要求や技術の変化は待ってくれません

試作機であれば、市場をとらえた状態で開発を進め、比較的容易に修正を加えられます。IoTやAIなどの新技術の導入判断を段階的に行えるため、リスクを最小限に抑えながら最新技術を取り入れることも可能です。

自動化装置開発・試作・製造の相談はI-OTAへ

自動化装置の導入を検討された際には、ぜひI-OTAへご相談ください。

大田区という日本有数のモノづくり集積地に拠点を構える弊社は、製品企画から試作品開発、設計、加工までをワンストップで提供し、お客様との対話を重視した装置開発を実現いたします。

これまでも、保守検査機器ロボットの開発や、各種自動化装置の設計・製作を手がけてきました。お客様と直接対話しながら、理想的な自動化装置を作り上げていくアプローチは、多くの企業様から高い評価をいただいています。

Web会議でも対応しているため、自動化でお悩みの方はまずお気軽にご相談ください。お客様の課題をヒアリングした上で、最適な自動化ソリューションをご提案いたします。

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まとめ

自動化装置は、人手不足や生産性向上といった製造現場の課題を解決する有効な手段です。24時間稼働による生産性向上、品質の安定化、人件費削減など、導入によるメリットが得られます。

自動化装置の導入を成功に導くためのポイントは、以下の3点です。

  1. 試作からの段階的な導入を行うこと
  2. 既存工程との親和性確認すること
  3. 長期的な視点での投資判断を行うこと

自動化装置の導入を検討される際は、まず自社の課題を明確にし、試作による検証からのスタートをおすすめします。本記事の知見を活用し、自社に最適な自動化への第一歩を踏み出してください。

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